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2006年9月17日 (日)

映画 「受取人不明」

キム・キドク監督の「宛先人不明」をdvdにて見ました。これでキム・キドクの作品は「魚と寝る女」「サマリア」「悪い男」「春夏秋冬そして春」「うつせみ」とほとんど見ることができたたかな。

最近の韓流ブームとはかけ離れた、独特の世界感をかもし出す技は既に巨匠の域に入る。かれの映画のほとんどは、喋ることのない世界。しずかな世界。すばらしい映像美。

もやはアートである。日本で言えば黒澤清みたいかな。でも彼ほど饒舌でもない。

今回の「受取人不明」は米軍基地がそばにある、韓国の田舎町の悲しい話。

最新作「うつせみ」も今年見た中では最高でした。この暗さでもよく作り続けられるなと感心する。誰もが芸術の映画と認めているのでしょうね。

いづれにしても、次の作品が楽しみな監督の一人です。

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小説「照柿」 

高村薫の「照柿」を読みました。

<小説といえどもネタばれありますので、注意ねがいます。>

10年くらい前に単行本で読んだことがあるのですが、今回全面改稿ということで、文庫本上下を買ってきて読んだ次第です。

読み比べ的に読んだわけではないのですが、達夫の勤める工場の描写だとか、秦野組組長とばくちをする描写がより細かくなっているように思えました。

また、堕落していく合田の姿がすっきりとしている印象もあるかな。最後の台詞も変えているし。また合田が取り調べを受けているところに単行本では吾妻がやってきて外で森がいたと思ったが、今回は森しかこない。

どちらかというと、文庫本の方がすっきりしている感じがあるが、個人的に単行本の方が好きですね。やはり堕落していく合田雄一郎の姿がじわりじわりとくる。

最後、取調べを受けるシーンの台詞で、

「合田さん、あんたは普段ならやらないようなことをやったんだ。わかるか」「・・・ああ分かる」

「合田さんしっかりしてくれ。あんたらしくないぞ」

照柿の中で合田雄一郎の行動のすべての意味を含んでいるような気がする。また達夫は「俺は人殺しや」と叫んでいた原因が小さな頃の雄一郎が飼っていたカラスを青く塗ってしまい殺してしまったところから「お前みたいな人間は未来の人殺しだ」と断罪していることから遠い一因として今回の殺人が起こっていた気がする。

それにしても、熱いし、眠い小説でした。

ちなみこの作品は97年に井上由美子(当時新人)が脚本したもので、雄一郎役が三浦友和、達也役が野口五郎、美保子役が田中裕子でテレビドラマ化されている。

見事に小説の世界をリアルに現しているように思えました。

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2006年9月 3日 (日)

映画『グエルム』

<ネタバレあります>

韓国映画『グエルム』見ました。池袋HUMAX4で、14時からの時間ギリギリでしたがほぼ満員。

ネタバレありますが、ご容赦を。

なかなかでしたね。其にしても韓国のこの監督ポン・ジュノは凄い。第一作の『吠える犬は咬まない』を国際映画祭で見たときからのファン。この作品でもテンポのいいユーモアがとても印象的。出てくる人物が自分たちにスゴく近いのですね。だからあ〜あるあると身近な漫画を読んでいるように笑ってしまう。けれども作品に貫くテーマはかなりブラック&シリアス。

次の『殺人の追憶』では更にテーマはシリアスサスペンス。なのに途中、途中で日常の笑いが入る。其によってよりサスペンスが深まってくる。

この『グエルム』もサスペンス怪獣映画でありながら途中で笑いが入る。主人公はどうしようもない父親。川原の横で売店をやっているが客に売るゲソも食べてしまう。一人娘ヒョンソには可愛くて甘やかす。川原の様子がおかしいと思い川を覗いて川にビールを投げていたりすると突然、怪物が河原の人々を襲いだす。この描写がすごい。見事なCG。すごいリアルなクリーチヤ。でも観たことがあるような。これはパトレイバーで出てきた、廃棄物13号だ。たぶん日本の漫画が好きな監督なのでこの映画の想を得た原点で在ることは間違いない。しかしこの後の展開はさすが社会派。娘が怪物に捕まり、対岸で呑み込まれしまう。 悲しみにくれて隔離された病院に娘から携帯電話に掛かってくる。警察に、医者に話すが誰も信じない。 何処かにいる娘を探しに病院を抜け出す。この辺の話は何かウルトラQ、ウルトラマンシリーズ辺りであったような? 間違いなくここから戦って行くのは社会も加わる。

下水溝に閉じ込められた娘の姿も時々でてくるのだが、ここもすごい。

他の人は死んでいて、怪物は食べものをここにストックしておくのだ。しかも食べ終わると口から骨がざくざくと吐き出される。わぁ~こわ。

この怪物との戦いと娘の運命はさすがに映画を見て欲しい。明らかに、日本の漫画、テレビをパクっているのだが、それを以上に混乱の中に一個人を誰が助けてくれるのか?見事なテーマを持ちえている。火炎瓶をぶつけるあたり、やはり怪物自体も社会なのかと思ってしまう。

主人公のソン・ガンホ。この役者も「シュリ」の片割れの刑事から日本でも有名。やはり「殺人の追憶」の演技同様にダメ人間が変わっていく姿を見事に演じ切っている。

主人公の妹役のぺ・ドゥナ。これも以前リンダ・リンダ・リンダで書いたけれど、「ほえる犬は咬まない」のキュートな犬を助けようと、団地中を走りまくる売店の女の子。

この二人はパク・チャヌクの「復讐者に憐れみを」で共演している。

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