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2007年4月30日 (月)

映画 「BABEL」 

ユナイテッドシネマとしまえんに行って見てきました。それにしてもこの映画館、いつも観客がいないような気がするけど、大丈夫なのか?

<ネタばれがありますので、注意してください。>

さて、バベル見てきました。監督は、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。

この監督は、東京国際映画際で「アモーレス・ぺロス」をみたときから、力強い感じの作品をつくるなと思っていたのですが、「21g」も「バベル」すごい力が強い映画でした。

物語はひとつの銃弾によって4つの話が交差する。モロッコの羊飼いの家族が銃を手に入れる。日ごろ羊に被害を加える、ジャッカル対策のため。そして羊飼いの兄弟が銃のなにげない扱いによって、当たるはずのないバスに向かって銃をむける。

そのバスには、子供を亡くしつながりが薄くなった夫婦が一組。窓側に座っていた夫人にいきなり銃弾が肩に当たる。モロッコの不安な田舎の中で、右往左往する夫。突然の出来事に、しらない異国の地で何とか夫人の手当てをしてもらえるところはないか、探してもらうが、実際ついたのは田舎の山村で、医者は獣医であった。

さらに、その夫婦の姉弟とともに留守をあずかる家では、ホームメイドが息子の結婚式に行かなければならないのに、夫人が銃弾に撃たれたため帰ってこれず、しかも代わりの人もこれない。しかたなく、息子のいるメキシコに子供たちをつれていく。

そのころ東京では、口の聞けない高校生チエコは父親とのコミュニケーションをとれずにいた。やがて彼女のは、仲間とともに酒をのみ、薬を飲み、モウロウとした感じで渋谷の町をさ迷う。

メキシコに着いたメイドは、息子の結婚式を終えて帰る途中、車を運転していた甥っ子が酒を飲んでおり、メキシコ国境で警察につかまりそうになり、突然車で逃走し始める。しかも夜の夜中にメキシコ国境付近でメイドと姉弟は車を降ろされてしまう。

モロッコでは、アメリカ人襲撃のテロというニュースが流れる。身の危険を感じた兄弟は銃を隠すが、父親に見つかってしまう。その銃をどこかに処分をしようと思っているときに、現地警察に囲まれる。銃を持っているために狙撃される。ここで兄弟の兄の足が撃たれてしまう。その状況に激高した幼い弟は、もっていた銃で警官を狙撃する。必死に止める父、なりふりかまわず撃つ弟。しかし兄の体に決定的な銃弾が。弟はさけぶ。「僕だ。僕がバスを撃ったんだ。!!」銃を壊し、手を上げる。兄のところには父親がなきがらを抱いて泣いている。

アメリカ人夫婦は、モロッコ政府のヘリがやっと飛んできて、なんとか病院にいくことになる。ヘリが来るまでの時間に傷ついた夫人を抱きかかえながら小用をする場面には胸を打つ。

東京では、好きな男が自分の親友とキスをしているのを見た、チエコは家に帰る。そこに父親を訪ねてきた刑事を呼ぶ。チエコは刑事に母親は、この高層マンションから落ちたと説明する。刑事はそんなことを聞きに来たのではないという。父親が持っていた銃がモロッコで事件になっていると伝える。ここでチエコは思いもよらない行動ででる。全裸でいきなり刑事に抱きつくのだ。

メキシコ国境付近では、取り残されたメイドが子供たちのために、一生懸命ハイウェイを探す。パトカーを見つけるが、不法就労で捕らえられてしまう。しかも子供たちは待っていてくれといった場所にはいない。子供は別の場所で奇跡的に見つかったようだが、不法就労のメイドはそのまま、強制送還されてしまう。

東京では、父親がマンションに帰ってくる。ロビーで刑事と会う。モロッコの銃はあなたのものですか?と聞く。おそらく私が渡したものという父親。ここで刑事はまるで世間話のように、奥さんは飛び降り自殺だったんですね。という。父親は、「家内は、銃で頭を打って自殺をしたんです。しかも娘の前で。この件については、警察に十分話してある。もういい加減にしてくれ!」という。

最上階のテラスには、裸の娘が立っている。やさしく抱きしめる父親。泣くチエコ。

こんな話になる。今回は、21gよりかはわかりやすい。

しかしひとつのさりげない出来事が、4つの家族のそれぞれの物語を見事に作り上げる。しかもひとつひとつが心にしみてくる。

やはり菊池凛子はすごい存在感。これは文句なし。目での演技がすごい。またメイド役の女性も見事な存在感。これは見ていてどんどん不安にさせるリアリティがある。

あまり日本では騒がれていないが、メイド役の女性も菊池凛子と共にアカデミー助演女優賞の候補だってことを忘れてはいけない。

脇がうまい映画はみんな面白い。つまり行き届いているからだろう。昨年では、「武士の一分」の笹野や、「雪に願うこと」の佐藤浩一、「紀子の部屋」の光石研なのでわかる。

この映画、菊池凛子が現在ファッショナブルにマスコミに紹介されているが、その勢いで見ることはおそらくギャップを受けるでしょう。ブラピが出ているから、ケイトブランシェットがでているから、ということで見に行き、娯楽の一種としてみるとショックを受けること間違いなし。

菊池凛子は、刑事の前に全裸になったり、行き着けの歯医者では、治療中に歯医者の顔をなめたりする。寂しさを体全体で表現しているのだ。この辺は、変な誤解が出てきそうな気がするのが心配だ。

リアリティがありながら、どこか不思議な力でつながっている、ファンタジックな寓話のような映画だ。

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2007年4月18日 (水)

傑作なのに知られていたない映画4 「紀子の食卓」 

<ネタばれがありますので注意してください。>

DVDで見ました。見たのが、先週の8日でしたので、記憶が残っているか、心配ですが。

それでも、どうして昨年この映画があまり取り上げられなかったのか、不思議である。

傑作だけどなかなか知られていないのである。監督があくまでインディペンデントにこだわっているのか。

監督は、園子温。この人も、風間詩織のようにPFFでスカラシップに選ばれた人。スカラシップで作った作品は、「自転車吐息」。一塁ベースの向こう側になにがあるのだろうか?この白線をたどっていくとどこにつくのか?ということをよく覚えている、感覚的な映画だったと思います。

その後「部屋」などを撮っていたのですが、前作「自殺サークル」がなんとも不思議な映画で、奇妙に、印象に残っているので、その姉妹編といわれる「紀子の食卓」は、どんなものでしょうと思い、見てみました。

話は、海の見える牧徳とした片田舎から、東京に紀子が出てきたことから、始まる。紀子の家は、ごく普通の田舎好きな父親、母親、妹と住んでいたのだが、こんな田舎がいやになり、東京に憧れる。そんなおりWEBであるサイト、「廃墟ドットコム」で交流していた「上野駅54番」を訪ねるために家出をする。

妹のユカも、姉が見ていたサイト「廃墟ドットコム」をみつけ、姉が書き込んでいたことを見つけ、さらに女子高校生54人集団自殺事件に、このサイトが関わっていることを知り、ユカも姉を追うように家出をする。

父親はユカが残したノートにより、「廃墟ドットコム」を見つける。そして、娘たちがなぜ、いなくなったか知ろうとするが、なかなか理解することが、できない。やがて二人の子供に家出をされたショックから、母親がノイローゼとなり、自殺してしまう。

父親は、ついに二人の娘を探しに東京へと旅立つ。

東京で紀子は、上野駅54番と会った。上野駅54番とは、駅のコインロッカーの番号で、実は上野54番とは、ここで拾われた人で親をしることのない女の人だった。

この人は、クミコと名乗り、紀子に自分の家族だという、やけに明るい人々を紹介される。

ここで、紀子は名前を捨てる。自分は書き込みをしていたハンドルネームのミツコを名乗るようになる。そして追ってきた妹のユカも、ヨーコと名前を変えて行動する。

クミコがやっていたのは、時間でいくら、といったレンタル家族だった。どうやらこれも廃墟ドットコムのサイトのバックグランドの組織が関わっているようだった。

父親はこのサイトの関係者を見つけ出す。そしてこの組織の人たちと会話をする。

「あなたは、あなたと関係がありますか?」なんて組織の人は変なことをいう。理解できない父親は、言い負かされてしまう。そこで父親は田舎の家とそっくりな家を都内でみつける。

そして、その家に自分の子供ふたりを子役に、クミコを母親役にレンタル家族を雇うのだった。

ついに家族はレンタルな形でそろうことになる。

そして父親はこの嘘なそして現実の家族とすごすことになる。しかし・・・

といったストーリーです。面白そうでしょ。実際おもしろいのです。

でもこれはこの映画のまだ消極的な一面にしか過ぎない。

実際にみてみるとわかるのだが、紀子の独白、ユカの独白、父親の独白をそれぞれに組み合わせて話が展開する。これが見事につながっていう。このあたり園監督は、天才だ。

ただ、自殺サークルの話を無理やりこんな話を合わせなくてもいい。

紀子役の吹石もすごくいい。演技賞ものだよ。嫌われ松子がなかったら吹石だね。怪しい女性クミコのうぐみもいい。妹役の吉高ってだれ?でもすごいヘタウマなのか、素の演技をしているのかわからない。ひょっとすると大竹しのぶ系の超レアな期待の新人かもしれませんね。

また、父親お光石研もいい。

2時間40分かかったがあまり長さ感じさせられなかった。

ちょっと暗いし、えぐいところがあるが、これは昨年の作品でのトップを争う作品である。

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2007年4月 9日 (月)

映画 「明日の記憶」

DVDで見ました。

監督は堤幸彦。テレビのディレクターの仕事の方が多くなったかな。最近いくつか映画も撮っていますね。

ほとんど渡辺謙がプロデュースしているので、いつものテレビで見るような奇をあてらうこともなく、オーソドックスに作っていますね。堤幸彦と渡辺謙のつながりってなんだろう。思って自分で思い出していたのですが、「池袋ウエストゲートパーク」のときからなのかな。(別かもしれないけれど。)

しかし、この映画は切なかった。次第に記憶がなくなっていく渡辺謙。できる広告代理店の営業部長で仕事をしているうちに、次第にもの忘れがひどくなっていく。最初は親しい仲間を忘れていき、取引先の約束を忘れていき、病院に行ってテストをうけると、若年性のアルツハイマー病との診断。

次第にわすれていく物事。取引先との打ち合わせに出かけると、いつも見ている街が、全く知らない街に変わる。自分の会社に電話をかけて自分は今どこにいるのか?どうやって取引先についたらいいのか?部下に聞く。このシーンはすごくこわかった。

娘の結婚式にしても、書いた紙をトイレに忘れ最後のスピーチもぎりぎりに思いだけでこなす。いや、思いだけだからすごく感情が高まり、涙してしまう。

それからは、家にずっといるが今度は次第に不安ばかりが募っていく。家じゅうメモばかり。しかし彼を支えているのが、妻の樋口可南子。久々に見たけれどいい演技をする。渡辺謙の演技はリアリティがあるが、妻の彼女は普通に彼を見守り、助けていくことをさりげなく演じている。

もっとも怖いのは、樋口可南子が遅く帰ってきて、待っていた渡辺謙が子供のようになくところ。そごく恐ろしい。

身内にアルツハイマーの人がいたことがあるので、途中からみているのが本当につらくなった。人のことがわからなくなるっていうけれど、僕のことを本当に忘れてしまうのだから。

でも、誰にでもありうる話である。そのときにどう受け止めるかだ。

映画の中の彼には、妻がいた。改めて夫婦の愛を問うてもいる。

一番こわかったのは、最初に病院に行ったときにテストをしていたシーン。さくら、電車、うさぎ、と3っつを言ってくださいといわれて、しばらく計算式などをテストされ、では、さっき言った3っつの言葉を言ってください。といわれて渡辺謙は言葉に詰まる。

実は、みゅうもこの映画をみていたときに、思いだせなかったのだ。

これが一番怖い。

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2007年4月 3日 (火)

テレビドラマ 「ハゲタカ」

オンエアではみていませんでしたが、ビデオに録画してあったのを一気に見ました。

まさに社会派サスペンス。すごく面白かったですね。

基本的に撮影は、オールロケーション。最近NHKのドラマでは多いですね。結構オールロケーションの作品に名作が多いですね。古くは佐々木昭一郎、三枝健起、高橋康雄、笠森友愛、木村淳、などなどの名作には結構オールロケーションが多い。(もちろん時代劇などの清水一彦演出のスタジオドラマも味がありますが。)

このオールロケーションですごくリアリティが増幅されて、迫力がありました。

私は原作を読んでいないのですが、誰にでもわかりやすく作られていたように思え、そこからお金社会の矛盾がうまく描かれていたように思います。

ファースト・シーンは特に衝撃的で、プールの水の中にばらまいてある一万円札を、あそんでいる子供たちが見つける。子供たちは虫取り網で一万円札をすくい取る。または手でつかみ取る。そのプールの中には一万円札と一緒にうつぶせになって浮いている大人がいる。こどもたちは、けがをして浮いている大人なんか気にしないで、お金をすくい取る。そして、おもちゃ屋にいき、ゲーム、プラモデル、人形など買いあさる。プールには怪我をしている大人がまだ浮いている。

すごいファーストシーンだ。みごとにこれから起こることを象徴としている。

バブルで落ち込んだ日本を買いまくるという、鷲津。銀行でエリート勤めながら日本を立て直そうとする芝野。二人の壮絶な金融での戦いが見もの。派手なドンパチなしで見事な緊迫感があった。特に脇の松田龍平はすごい。一種異様な雰囲気を漂わせ、目で見事な演技をする。

もう一人は栗山千明。これも高校生役のときは、いままでとなんら変わりないのだが、髪型が変わって、化粧がかわると、まったく別人に見えた。逆にこの美人はだれだ?と思ってしまったほどのきれいなお姉さんになっていました。

鷲津役の大森南朋は最近すごい。最初に僕が見たのは、三池監督の「殺し屋1(イチ)」の主役ですごいやつが出てきたと思ったけれど、その後テレビドラマ、映画で大活躍。なにしろその素朴なたたずまいから、悪役、普通の人、エリートと何でもこなせる役者になっていた。

お金にはあまり縁がないみゅうでありますが、このドラマはお気に入りです。

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2007年4月 1日 (日)

映画 「檸檬のころ」 気恥ずかしい映画

池袋シネマ・ロサで見てきました。レイトショーということもあり、なんと観客は8人!!!

この映画館も、思い出がいくつかありますね。確か2000年前ぐらいまでは、名画座でいろんな名画をやっていたと思います。そこでいろんな作品をみた覚えがありますね。映画館もロサ1.2となっているが、そのころは、ロサ、セレサの2館で名画座をがんばっていましたね。椅子もすごく良くなって、音も良くなっているけれど、たたずまいは昔のままです。

さて、最近これ!!っていうみたいものがない。なにか見に行こうと思ったのですが、見たいのがないというのは寂しいものです。でもあまり映画が見に行く機会が減ったいま、何を見に行こうかと、悩んだ結果この作品にしてしまいました。

理由は3点、監督が岩田ユキ。この人はたしか最近のPFFで賞をとった人が監督だったから。また、「カナリア」で共演していた谷村美月と、石田法嗣が再共演しているから。ポスターがよかったら。

それにしても、この映画は、みていて気恥ずかしくなるような初々しさがでている。これで成功しているといってもいいでしょう。びっくりしたのが、栄倉奈々という女の子がすごく綺麗だったこと。

高校生の夏から卒業までを、本当にベタに描いたストーリ。原作があるらしいけれど知りませんでした。新進の24歳の学生時代から小説で賞を取っている人らしいですね。

げた箱、教室に一人、窓から覗く校庭、高校野球、屋上、夏の青空、昼寝、電車、リップクリーム、男の子、女の子、ロック、ときめき、花火、ノート、友達に嫉妬、川、才能、高台、夕日、文化祭、模擬店、体育館、ステージ、受験、合格、不合格、自転車、別れ、電車、旅立ち

ざっと、こんな感じです。これであたなが思いつくストーリを頭でおもえばこの映画が出来上がります。

これは、悪い意味で言っているわけではないのですが、まあ高校生の青春の甘酸っぱさがなにしろテンコ盛りなのですね。

たぶんオールロケーションだとおもうのですが、栃木の田舎の風景がとてもいいです。まるでさわやかな風を感じるくらい。しかもすごく丁寧に撮影しているので、とてもきれいでした。とても新人監督さんとは思えないほどのしっかりした取り方ですごく自然でした。

岩井俊二と篠田カメラマンコンビがとったような美しい感覚なのです。それ加えて、栄倉奈々の美しさ。谷村美月のかわいさが冴えていました。

ストーリの中でわからなかったのは、西(石田法嗣)と加奈(栄倉奈々)のカラミですね。電車の中で、すごい緊張感で、二人の間にはなにかあったな、と思ったのですが、なんのことかわからない。中学生の頃は、お互い好きあっていたみたいだが、今は西だけの片思いになってしまって気まずいということなのか。ただ、メインのストーリではないのです。佐々木君(柄本)と加奈のストーリと、白田(谷村)と辻村(平河地一丁目)のストーリの2本が柱になっているが、西のストーリだけが浮いている。

題名にもあるが、檸檬のリップクリームを西に加奈がつけてあげるという、中学生ならではの間接キスの話も面白く、そのリップクリームを加奈が電車で忘れて西が密かに拾い持っているというのもいい話であり、卒業まじかに電車の中で加奈にあい、リップクリームを返すというストーリが入っているのだが、前の二つのストーリが成功しているだけに、どうも浮いてしまっている。それだけがきになってしまう。

まあ、私の年にはすこし気恥ずかしい映画でした。岩田ユキの新作にも期待したいと思います。おそらくここに出ている、栄倉奈々、江本、谷村、石田、平川地はみんなのびると思いますね。

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