« 実録 連合赤軍 あさま山荘への道程 映画によって彼らを総括しているのか? | トップページ | 人狼 マトリックス むかし好きだった人 »

2008年5月12日 (月)

秒速5センチメートル 塚本晋也との共通性?

さて、「秒速5センチメートル」を見ました。WOWOW放送で、新海誠さんの特集をやっていたためです。

僕は、「ほしのこえ」の時から注目しておりました。宮崎、押井、今野、大友に続く(その他にも杉本キサブローや、りんたろうがいるが、)、日本が誇る世界のアニメーターが誕生したと。

前作の「雲の向こう、約束の地」の世界観に圧倒され確信した気がします。(この作品もすごいのに、あまり世間で評価されていないというか、一般的に知られていないというか、なんといっても「ハウルの動く城」を抑えて毎日アニメ賞をとったのですよ!)

前作は、創造された現代の話、北海道が独立してそこの建てられた、どこから見ても見えるものすごく高い塔をめぐる、中学生から高校生にかけての男子二人、女子一名の青春SF物語。

北海道を目の前にした津軽の空の青さ、緑の草、駅の廃墟、朽ち果てそうな倉庫、その向こうに見える海と白く天まで届きそうな白い塔。その中で秘密に作っている飛行機。

女の子は、その飛行機で海の向こうの北海道に連れて行ってという。

その約束をしたのちに女の子は起きることない眠りについてしまい男たちの前から姿を消す。といった内容でしたね。

こちらもすごく叙情派でした。

今回見た「秒速5センチメートル」は、もっと創造部分を排除してリアルに近付けていました。基本は山崎まさよしの「ワンモアタイム、ワンモアチャンス」を主題歌として、その歌の世界に大きくインスパイアされている感じでした。ストーリは大きく3つにわかれており、主人公の男の子と、女の子が小学校を卒業すると同時に、女の子が栃木に親の転勤で桜散る中、踏切で別れ、中学に入ってから文通を続けていたが、今度は次の年の3月に男の子が親の転勤で種が島に行くことになり、男の子は引っ越す前に、一度会おうという。しかしまだ寒い3月。東京から栃木に行く電車は、雪で大幅に遅れてしまう。3時間も遅れて着いた駅には彼女はまだ待っていた・・・。でも男の子は、もうこれからは会えないのだろうという感覚を知ってしまった。という第一話。

第2話は、男の子が種子島についてからの高校の話。今度目線は男の子に憧れる同一クラスの女の子の話になる。東京から来た男の子はクールでやさしいが、どうしても怖くて好きと言えない。それでも自分にやさしくしてくれるのだから、可能性があるかもと思っている。でもある日男の子は、やさしいだけで、彼の胸の中には、自分がいないことを知ってしまう。その心をしったとき、種子島から何年か振りのロケットが発射され、彼らの上の大空を突き抜けていく。

第三話は、男の子が大人になってからの話。会社を辞めた男の子は、三年つきあっていた女の子から「あなたとは千通のメールをしたけれど、心は1センチしか近づいていない。」とメールをもらう。そんなとき、かつての踏切で、忘れられぬ彼女とすれ違うが、振り返ることができず、振り返った時には、踏切に上り電車、下り電車が通っていた。

という、すごくベタな話なのですが、ワンシーンワンシーンに力があり、すごく感情移入できてしまうのだ。(これはもしかしてみた人の気持ちによって違うと思いますが少なくとも私は感情移入してしまった)

恋愛の多い少ないは人によってあるかもしれないが、主役の男子が引きづりすぎという人がいるかも知れない。ただ心の感情をうまく、風景の中に同化する力が演出の中にあるのである。これがないとただのベタな演出になる。前回は創造+リアルに凝っていたが、今回はリアルと中心とした心象風景を形造っている。

なにしろ描写がリアルで、教室、夕方、廊下、さくら、雪、電車、踏切、副都心高層ビル。海、雲、50ccオートバイ、ロケットなどなど。

ひとつだけ、リアルでないのが、人の顔である。

顔はアニメ顔なのだ。なんというか、押井守の作品のような、今敏の作品のような、大友克洋の作品ような、すこしリアルに近づいた顔でなぜないのか。ここも考えてみたが、リアルすぎてしまうからかもしれない。ある意味映画は夢である。特にアニメの場合はそうなのかもしれない。リアルすぎてはいけない。(人狼は別だが)

でも主役の男の子の声が水橋研二さんの声でこれがすごくいい!!まさに水橋研二にぴったりである。

今回初めてハイビジョンで見たのですが、やはり景色が目にしみる。

また、この作家エンドクレジットを見ると恐ろしい。

制作、監督、演出、脚本、絵コンテ、撮影、編集、動画、背景、色彩設計とすべての項目に名を連ねている。普通は監督としては、プロジェクトマネジャーとなり、自分色の作品の指示だけをして、あとは担当に任せ、全体の統一性を見ていくといった部分なのですが、すべての部分で名をだしているということは、細かい部分まで自分でなければ納得できないのでしょうね。まあ宮崎駿も、監督になっても肝心なところは自分で動画を書いていたとききます。ただ、いろいろチェックをするだけにしてしまった方がいろんなところに目がいくようになるし、たくさん作品が作れるような気がするけれどな。

こんなクレジットをみるのは、よく塚本晋也監督の作品に多いですね。まあ二人ともインディペンデントの作家出身だからね。

|

« 実録 連合赤軍 あさま山荘への道程 映画によって彼らを総括しているのか? | トップページ | 人狼 マトリックス むかし好きだった人 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/92557/20901394

この記事へのトラックバック一覧です: 秒速5センチメートル 塚本晋也との共通性?:

« 実録 連合赤軍 あさま山荘への道程 映画によって彼らを総括しているのか? | トップページ | 人狼 マトリックス むかし好きだった人 »