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2009年2月16日 (月)

映画「愛のむきだし」 短いカットと長いカット、純愛と変態、聖と俗、

久々に書きます。

まあ、昨年10月からなので、4か月ぶりくらいなのですが、なんといってもその間に父が亡くなり、ばたばたしていました。

とはいうものの、正月を含め、映画は何本もみているはずなので、なんというかただ、面倒なだけだったかもしれません。その間に見て面白かったものといえば、小池栄子主演の「接吻」くらいかな。これは傑作でしたね。

さて、ここで書きたくなったのは、やはり書きたくなるような映画に出会えたからです。

園子温監督「愛のむきだし」です。本来11月に行われた、フィルメックスではチケットを取って楽しみにしていたのですが、父の葬儀と重なり、本当にばたばたして、いくことすら覚えておりませんでした。

渋谷のユーロスペース2.会場はほぼ満席。客層は真っ二つに分かれる。10代の若い女性か、映画が好き!ってタイプの中年男性。私は知らなかったのですが(ファンの方すみません)主演の男の子は、AAA(トリプルA)というグループでメインボーカルをしているので、すごく若い女性が来ているとのこと。もちろんこれは園子温監督が狙ったところでない、集客効果がでたところですね。でもこの観客たちを納得できれば日本映画は安泰だ。

「紀子の食卓」も傑作だったのですごく楽しみにしていたのですが、それにしても、尺数が、あれ?、237分ってとてつもないものを作ったのだな、と直感していました。

園子温監督作品は、ぴあでグランプリをとって得た製作援助の作品「自転車吐息」の頃から見ております。もともと詩人ということもあり、正直最初のほうの作品類(特に「部屋」など)は、いつも途中から???という感覚がありましたが、なぜか心に残るという不思議な感覚を味わうことが多く、次回作も気になり、つい見に行ってしまうのです。それだけ、言葉的にも、映像的にも感覚的に面白いものを作る人だなと思っていました。映像だけ感覚てきな人って、結構いるけれど、両方の人ってめったにいないもんですからね。

「自殺サークル」あたりから、本当に僕の中でヒットしてくるようになってきまいた。この人はもしかするとエンターテイメントが向いているのではないか、と思うようになってきたのです。

「紀子の食卓」で僕は確信に変わりました。内容前に書いているので、手法として、主人公のナレーションと重なりながら、短いカットが積まれて、印象的な言葉と、絵が交錯する。または、印象的な画像に言葉が交錯する。この手法も用いらせたら、日本で、いや世界でも有数だ。絶対この人はテンポアップした面白い題材の作品を作ったら、すごくおもしろくなるのではと。

しかしフィルメックスで初めて知った時に、尺数をみると237分。いや、ちょっと長すぎるのではないかーーー?長回しがいっぱいあるのかな。短いカットを重ねるほうがおもしろいのになーーと思っていたのですが・・・。

昨日見てびっくりしました。恐ろしいことに、4時間の全体の三分の二は、いや四分の三だろうか。短いカットの積み重ねで、主演の人のモノローグが重なる手法をとっている。もちろん効果的に長いシーンもある。なので最初から最後まで目が離せないのである。いや、目が離せられなくなるのである。こんな映画は奇跡である。だって4時間ですよ。4時間!

内容は、母が死ぬ前に「マリアのような女性を見つけて結婚しなさい」と言われた主人公ユウ、さらに牧師である父から懺悔を強要されるようになる。父の懺悔するため、悪いことを始めたのだが、行き着いた先が盗撮。この盗撮が面白い。絶対にありえないような盗撮をする。しかし盗撮仲間との作品品評に負け、女装して街の中でで誰かにキスをすることを強要される。その時、一人の女子高生ヨーコが、不良に絡まれているのを助ける。そのヨーコが母が言っていたマリア様だと一目ぼれする。ヨーコも女装しているサソリという人を好きになる。ヨーコは、実の父に襲われそうになったときにから男性が憎くてしょうがなく、女性しか愛することができなかった。

やがてユウの父が結婚したい人がいると女を連れてきて、その連れ子がヨーコであった。ユウは、ヨーコに女装の時は彼女から愛され、男性の時は憎まれる。

この家族を0教会の幹部であるコイケが狙っていた。彼女は、ユウを「同じ匂いがする」と言い、彼をつけまわしていた。彼女は自分がサソリであると、ヨーコに思わせ、家族に接近し、ユウの盗撮を家族、まわりの人にばらし、やがてユウ以外の家族を0教会へとかっさらっていく。

ユウは、ヨーコをとり戻そうと、一回は強引に奪い取りに、そして二回目は本部に殴りこむようにして奪いにいく・・・。

といった話で、全体で幾つもChapterに分かれていて、それぞれがモノローグを話し、映像がつながっていると手法が中心。とくに最初のchapterはユウがヨーコに会うまで、ボレロが全編に流れ、ヨーコに会うところでクライマックスの音楽となり、ここで初めて題名が表示される。それ以降の音楽は、「ゆらゆら帝国」の「空洞です」が大きく占める。

全体と貫くのは、ユウの自分のマリアにかける純粋で一途な思い。それはヨーコと会う前、会った後も。それにかける愛がそれぞれに人が、それぞれの形でむきだしになっていく。

役者は主人公の少年ユウを演じたのは、西島隆弘。本格的にはこれが最初の演技だとのこと。純粋さにアクがなく、とてもあっている。カンフー映画張りの盗撮には多分苦労したことであろう。でもさらりとかっこよくやっていることがとてもいい。なにしろ愛に一貫する青年を見事に演技切った。

ヨーコ役の満島ひかり。顔だちがとてもきれいで、丸顔に目がとてもパッチリしている。マリア様の格好になると確かに聖なる人に見える。単純な僕はすぐにファンになってしまう。なにしろ力演である。パンチラを見せながらの立ち回り。さらに恐ろしく長い聖書の独白。サソリの前の乙女心のようなしぐさ。コイケとの舌を絡めるキスシーン。と本当に幅がひろい。

この二人はおそらく、今年の新人賞を独占するのでは。

また、コイケ役の安藤サクラにも驚いた。確か奥田英二の娘ですよね?

この人がいるから、主演の男女二人もより輝くのでしょう。本当に堂々としている。この人も立ち回りがあり、それがすごく堂々としている。みごとに上の二人を引っ張っているといえる演技でしょう。

まあ、いろんな映画で4時間くらいの映画を観てきましたが、なにしろ一番時間がたりない4時間映画でした。

本当にあっという間にすぎますよ。

ベルリン国際映画祭で、国際批評家連盟賞とカリガリ賞をとったのですね。

おめでとうございます!

この二つの賞を同時に頂くということは、これはある意味コンペでグランプリをいただくのと同等の価値があるのでは。またそのぐらいの意味がある賞だと思います。やはり純愛は各国共通なのですね。

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